2014/10/03

1007短歌を詠んだがいつもは詠む趣味はないから突然の歌人

 短歌を詠んでみた。いつもは詠む趣味はないから、突然である。

                        遥 
                        か 
                        西 
ふ   花   大   空   沈       の 
る   咲   川   翔   黙       故 
さ   か   よ   け   の   少   地 
と   せ   わ   る   湖       を 
は   歌   れ   少   に   年   想 
晩   詠   を   年   な       い 
夏   み   連   の   り       て 
や   重   れ   夢   た       `
少   ね   去   い   る       歌 
年   少   れ   く   盆       人 
老   女   濁   た   の       に 
い   ら   流   び   地       倣 
に   よ   に   も   よ       い 
け                       て 
り   老   い   醒   昭       詠 
    い   ず   む   和       め 
は   に   く   れ   二       る 
あ   け   に   ば   十         
り   ら   て   盆   年         
ゃ   し   あ   地   八         
あ   な   れ   の   月       ま 
さ   生   空   森   真       ち 
∫   ひ   広   の   昼       も 
よ   に   け   奥           り 
お   け   れ   底           散 
お   る   ば               人 
い   ぞ                     
や   や                     
さ                         
あ                         
 
     
 詩や歌に解説はいらないだろうが、せっかく詠んだのだから解説しておく。
 「遥か西の故地」とは、わたしが少年時代を過ごした生まれ故郷のの高梁盆地(岡山県)のことである。どうでもいいけど、映画「男はつらいよ」シリーズで、寅次郎の義弟(妹さくらの夫)の出身地で、シリーズに2回登場する町である。
高梁盆地
「歌人に倣いて」とあるのは、これは故郷に住む歌人の歌集の「あとがき」として載せているからだ。なぜ頼まれたかと言えば、実はその歌集を、わたしがDTPで制作したからだ。
歌集「ぽかりぽかり」
歌つくり:藤本孝子
花つくり・写真:定森治子
本つくり:まちもり散人
あとがきを頼まれて、そうだ、わたしも歌を詠んでみるかなと考えていたら、意外にすらすらと心象風景がでてきた。もちろん推敲を何度もした。
 歌のできの良し悪しはともかくとして、詠んだ当人はよくできたもんだと自賛している。
 故郷を想えば誰もが歌人になれるらしい。斉藤茂吉も石川啄木も寺山修司も、そういう歌が多い。それでは、べつの主題で詠んでみようかと頭をひねったら、これがぜんぜんできないのは、何とも不思議である。

 「沈黙の・・・」の歌に解説はいらないだろうが、あの敗戦放送に黙りこくった大人たちの風景である。

 「空翔ける・・」の歌は、さすがに今は見なくなったが、少年時代には空を飛ぶ夢を見たものだった。いや、結構大人になっても見た。
 わたしは丘の中腹にある神社の森の中で生まれ育った。境内から見下ろす街の屋根の上を、夢で何度も飛びまわったものだ。だが、盆地を囲む山を越えることはなかった。

 「大川よ・・」の大川とは高梁川である。この川が盆地をつくって、南に流れて瀬戸内海に注ぐ。少年のわたしは四方を山に囲まれた盆地の閉塞感に悩み、どうやって抜け出るか考えていた。
 結局は大学に入って関東へと脱出を果たしたのだった。故郷の町の歴史文化の深みと美しい景観を認識して高く評価できるようになったのは、ずいぶん後のことである。

 「花咲かせ・・・」は、歌人の親友が育て撮った花の写真が、この歌集に文字通りに花を添えているので、この2人の昔の少女たちへの挨拶歌である。
 歌の後段は、「筒井筒井筒にかけしまろがたけ 生いにけらしな老いにけるぞや」(世阿弥元清・能「井筒」より)のコピーだが、格好よく言えば本歌取りである。
 老いと生いを入れ替えたのは、二人の若さへのお祝いのつもり。老いたのか、いや、成長したのだ、と。

 「ふるさとは・・」の後段は、高梁盆地に伝わる盆踊り歌の囃子言葉である。知っている人なら、そのメロディーが頭の中を流れてくるだろう。
 この歌も本歌取りである、と格好つけて言っておこう。元歌は「村境の春や錆びたる捨て車輪 ふるさとまとめて花いちもんめ」(寺山修司・歌集「田園に死す」より)。

(2016年9月10日追記)
 この藤本孝子歌集「ぽかりぽかり」の続編として、2016年9月に「また、ぽかりぽかり」を制作し、高校の同期会では配布した。
 更に両歌集を総合編集して「ぽかりぽかり2007-2016」を制作した。なお、藤本孝子氏には歌集「春楡のうた」(2007年 砂子書房)がある。
参照記事http://datey.blogspot.com/2016/09/1210.html


2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

とても良いお歌ですね。
さすがです。
教養と見識がうかがえます。
     幸恵

まちもり散人=伊達美徳 さんのコメント...

お褒めいただき、ありがとうございます。(まちもり散人)