あれ?、また例の難病か??、10日ほど前から、左の尻の奥の芯のあたりが、何となく痛むのだが、実はこの場所でこの痛み方には、苦い記憶がある、あの時によく似ている。
それは2002年から2年間ほど悩まされた、不治の病と医師に宣告されたのに、実は自然治癒してしまったという、妙な誤診事件である。
その病名は「大腿骨頭壊死症」であった。これな治療が公費負担されるほどの難病である。これが別の病目になって治ったのだ。
仕事が忙しかった頃なので、痛みを辛抱して杖を突いて、全国各地のどこにでも出かけていた。医師は言う、今は痛くても歩ける、そのうちに股関節がぐじゃりと潰れて歩けなくなる時が必ず来る、今のうちに手術して金属製の関節に取り替えておくこともできる、などともいう。
そういえば母の骨上げをしたときに、人工関節のセラミックボールが、きれいに焼け残っていた。母の様に手術するかな、どうしようかなあと悩みつつ、忙しい日々を過ごして半年ほどたった頃から、次第に痛み薄れてきた。医師が言う不治の病が治るはずがないからと、それでも杖を離さず、骨の壊死破壊を恐れつつ歩てていた。
そして発病から1年半後のある定期診断の日、それまでとは別の医師がでてきて、おもむろに言った。これは病名が違っていた、実は「大腿骨頭萎縮症」と言う病で、数カ月で自然治癒する病だ、と。妊婦がかかりやすいとか。
え、え?、ほんとう?、オレは妊婦か?、大逆転というか、地獄から突然天国へと言うか、いや、なんでもいいや、治ったあ~。
新旧杖2本 |
さて、そんな体験のある病が、またも舞い戻ってきたのだろうか。日々少しづつ痛みが増してくる感がある。だが、これが大腿骨頭萎縮症ならば、この前の様に放っておけば自然治癒するのだから、半年ほどの辛抱ですむだろう。
だが、もしも今度こそ骨頭壊死症ならば、ある日歩けなくなる。今の段階で医師の診察を受けて、骨頭壊死症と言われても、あるいは萎縮症と言われても、どちらも信用できない。いや壊死症と言われても絶対に信用したくない。
ということは、要するにまだ当分は医師に見せたくないということだな、まあ、20年前と比べるともう末期高齢者だから、たとえ手術すると言われても、もう体力がないから無理だろうし、手術したとしてもすぐに死ぬ時が来るから、コストパフォ-マンスが悪すぎる。
と言うわけで、近頃また20年前の杖を出して使ってみている。不治の病を治した縁起が良い杖だからとゲンをかついでいるのではない。
今や老いと言う病で脚がふらつき気味なのを、杖でサポートする身になっている。ウォーキング遊び用の杖をそのメインにして、20年前の杖も予備としている。
実はやってみて、老いの杖曳きは道を譲られる確率がかなり高い。こちらは譲られるほどのよぼよぼでもないのになあと恐縮がっているのだが、病の故の杖ならば、なんだか堂々と譲られてもよい気がする。
なんてことをくよくよ考えてヒマツブシの種が一つ増えたので、ここに書いておくのだ。
(20231017記)
関連ページ:
●思い出エッセイ「杖」
●にわか身障者顛末記:大腿骨頭壊死症難病誤診事件
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伊達美徳=まちもり散人
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