2023/11/01

1726 【人と熊】減少中の人間と増加中の野生熊とが生存領分争い開始か

 近ごろ街の中とかその周辺で、野生の熊の出没ニュースが多いようだ。要するに人間と熊が出会う機会が多いということだ。

 今の時期の熊は、冬眠に備えて食いだめするために、あちこちで食料をあさっている時期らしい。もともと山中に棲むクマだが、山中だけでは冬眠に必要量を食うことをできないらしくて、人間世界にまで餌あさりに出てきてしまうらしい。今年は異常気象のせいで、山中に木の実などのエサが少ないのであろうか。

 しかし、熊にしてみれば、いつものように秋の食いだめをやっていて、ついつい人間世界に踏み込んでしまうのだろう。そうして人間側の都合で害獣駆除とて、鉄砲で撃たれ、、罠にかかり、殺されるのだ。
 熊は殺されると知っていて人間世界にやって来るのか、知らないで来るのか分からぬが、今年もたくさん駆除されるのだろう。

 新聞の社説に、「クマ被害最多」とタイトルがあり、おや、熊が人間から被害かと読んでしまった。もちろんそうではなくて、人間が熊から被害とのこと、このタイトルは主語を間違っているよ。


 でもその熊の側の気分で本文を読んでいくと、この社説をもしも熊が書いたら、人間と熊を入れ替えると、ほぼこのままで熊の嘆きになると気が付いた。
 そうだよなあ、筆者が熊ならば、「人間による熊の被害が続いている」と書きだすはずだ。耕作放棄地の藪や空き地の草だらけ敷地とか、もう人間には用がないからいいだろうと入り、熊の領分が増えたと思っただろう。それで殺されてはたまらないだろう。

 人間側の事情はわからないが、無用になったらこちらにくれてもいいだろ、もともとは俺たちの先祖が棲んでいたところだぞ、お前らが勝手にやって来て、田畑にしたり、村や街にしたのだから、不要になったらもう返してくれ、と熊はいうだろう。
 あ、これってなんだか今、戦争が起きているパレスチナみったいだな、昔々に日本人が中国東北部に満州開拓なんて地元農民を押しのけて入り込んだのも似ているような。

 昔々、わたしは野生の熊に山中で出会った経験がある。大学山岳部の夏山合宿で、日本アルプスの剱岳直下の劔沢の河原でキャンプをしていた。昼間だったが沢の水流を隔てた向こう岸を、親子らしい黒い熊が右方の上流側から歩いてきた。こちらは初めて巨獣を見て、ただ茫然としていただけ。20mほどの距離だったが、あちらはこちらに関心を持たない様子で下流方向へ歩き去った。

(20231101記)

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伊達美徳=まちもり散人
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1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

アメリカ、いやもっと正確には、南カリフォルニアでは、日本と同じくクマが頻繁にでる。実際、パサデナの山の手の住宅街に澄んでいた時だった。 水曜日がゴミ集めの日なので、火曜日の夜に過去一週間分のゴミを家の前に出しておく。 クマも、それを知っていて、火曜日の晩に、我が家を含む近所のゴミバケツをひっくり返して、旨いものを食らったらしい。 そこら中、ゴミを散らかして、退散していったことが、翌朝気がついた。

不思議なことに、近所の犬は、ひと吠えもしなかった。 また、鉄砲を持っている連中も、なにもしなかった。しかし、近所の女性達は、クマの残した「おおきじ」の始末に、長時間費やし、男どもの能なしぶりに文句の花を咲かせたことだった。