2019/04/02

1395【令和騒動と換算呪文】明治いやむなしい大正ひどくひどい昭和ひどくにごり平成ひどくはんぱ令和じわっといや

 2019年4月1日、つまりエイプリルフールの日に、政府が次のエンペラーナルヒトさん用の新元号を発表した。
 わたしは元号嫌いで使わないのだが、こういう社会的騒ぎは野次馬として大好きである。
 TV嫌いなので、ネットで同時的に「玲和」なる新元号と、それが日本古来の「万葉集」から拾ってきたとの説明も知った。

 ところがネット世界では、政府発表から2時間ほどのうちに、「万葉集」より数百年も古い中国古典に、その例があるとSNSに書き込んだ人がいるのを見た。
 政府が言う「万葉集」典拠は「初春月 気淑風
 中国古典の「帰田譜」典拠は「仲春月 時気晴」
 おやおや、そっくりじゃんかよ。やっぱり今回も中国に教わったのだ。

 日本は古来から中国文化を摸してきたのだから、この「万葉集」の中のこの著者は、「帰田譜」のこのくだりを知っていて、上手くアレンジしたのだろう。
 それは模倣ではなくて、むしろ中国古典を知っていることを自慢しつつ、堂々たる「本歌取り」としてそれを書いたに違いない。

 さて、今日4月2日の新聞には、政府発表の言葉に当然のことに、そのことも含めて載っているだろうと読んで探したが、一言も触れていない。おやおや。
 中国典籍を脱して日本古来の文献に寄ったのが誇らしいと言わんばかりである。なんだかヘンだなあ。
 ネット雀さえすぐに分かったことを、まさか選定に関わったあれだけ多くの有識者なる方々のどなたも、実はご存じなかったのかしら。
 それともここはなんでも保守国粋主義者たちの顔を立てて、知らんぷりすることにしてのかしら。

 今朝の新聞記事には、中国のネットでもこの典拠で「ルーツは我が国」と流れているそうで、日本政府の知識の無さを哂っているのだろう。
 哂われてもしょうがない、日本は中国文化を追いかけてきたのだから。
 中国との外交関係が怪しい今だからこそ、お国の古典を今回も利用しましたよ、ありがとう、ってくらいの度量の大きさを見せたらよかったのにねえ。

 それにしてもまた面倒なことが増えて、暗算不得意の年寄りには困る。
 明治、大正、昭和、平成と元号で書かれた年を見ては、いちいち換算呪文を唱えて西暦にするのだが、またそれが増えてはお手上げである。
 では換算をやめてしまえば良かろうとなるが、そうなると今から何年前に起きたことかわからないし、外国のその頃のことと比較ができない。歴史感覚国際感覚が衰えるのが怖い。
 どうも世の中の元号好き連中は、歴史感覚にも国際感覚に欠けるようだ。

 さて、和暦西暦換算呪文である。「令和」登場により新呪文を考えたので披露する。
 それぞれの元号年に括弧内の数字を加えると西暦になる。
 明治いやむなしい(1867)
 大正ひどくひどい(1911)
 昭和ひどくにごり(1925)
 平成ひどくはんぱ(1988)
 令和じわっといや(2018)
 実のところ年寄りは、この呪文を覚えられないなあ。

 昨日4月1日エイプリルフールの日に、フェイスバカにわたしが書き込んだいくつかの記事を載せておいて、もう元号騒ぎにはおさらばする。

●4月1日 8:41 
 わたしは元号嫌いだけど、元号騒ぎならば大好き、さてさて、今日はどんな大エイプリルフールが政府発表されるのか、楽しみなことだ、明日には本物の元号発表があるのだろうなあ。

●4月1日12:01 今日はエイプリルフールですよっ!

●4月1日19:40 
 さすがに有識者って人たちは偉いもんだ、中国の『帰田賦』の「仲春令月、時和気清」も、それをなぞった日本の『万葉集』の「初春月、気淑風」も、なんでも知っているんだなあ、すごいなあ。

●4月1日19:57 サラ金令和かよ

 なお、誤解無いように付け加えると、わたしは元号反対ではなくて、行政の元号強要に反対なのである。面倒迷惑なことをなんで強要するのか、使いたい人だけが使えばよろしい。
 そういえばとうとう外務省は西暦にするらしいが、外国との付き合いではそうするほうがよいに決まっているよなあ、イスラム歴やネパールのビクラム歴など相手国の年号に合せるのも大変だよね。(2019/04/13追記:自民党のお方たちのいちゃもんがあったらしく、外務大臣はこれまで通りに元号も使うと発表した)

 このブログにこれまでに元号についてはこんなに書いている。
・2019/01/01【一首一元制】そんなに元号をお好きなら一世一元制じゃなくて首相が変るたびに改元してはいかが
https://datey.blogspot.com/2019/01/1177.html
・2018/05/23【元号問題】和暦を西暦に換算する呪文は妙案だが来年からもっと長くなる呪文を覚えきれないかも
https://datey.blogspot.com/2018/05/1135.html
・2018/04/30【戯報新聞スクープ】2019年5月1日から和暦の新元号は「西暦」(セイリャク)と決定2018/04/30
https://datey.blogspot.com/2018/04/1331.html
・2017/12/20【明仁氏終活余談】あきひとさんの終活でちょうどよい機会だから日ごろ面倒な「元号」をもうやめてちょうだいな
https://datey.blogspot.com/2017/12/1309.html
・2016/10/20【また元号が変る】国も自治体も元号表記に固執するのをやめてくれ、また2年先に変ると混乱ばかり
https://datey.blogspot.com/2016/10/1224.html

2019/04/01

1394【フェイスバカ3月記事まとめ】ズレ会話、ゴーン、本、花見、東京大空襲、イチロー引退、東京駅、元号騒ぎ、

3月1日【浜離宮庭園その5】
ご隠居:築地跡地計画で、またもや浜離宮庭園は西・南・東側のような、北側にも木に竹を継ぐ景観が生まれるのだろうねえ、こまったもんだよ。
熊五郎:そうだ、瓦屋根付き超高層ってのはどうです、外装に木を気を使うとか、いっそのこと木造超高層ビルとかね。ちょっと景観戯造やって見ましょうか。ほれ、江戸城天守風超高層なんてね、日本調でショ。
:わははは、木さえ使えば良い建築なんて、デザインできない奴が言うことだよ、新国立競技場みたいにね、でもそういうのがホントにできちゃったりするから、コワイよな~。
https://datey.blogspot.com/2019/02/1189.html

3月2日【食料品店で】
食料品店でいくつか買い物、会計係のオバサンが聞いてきた。
「レジ袋を付けても大丈夫ですか?」
 はて、「レジ袋」とは何か?、あの半透明の袋のことか、でもあれはポリエチレン袋だから「ポリ袋」だよなあ、なんでレジなんだろ、いやレンジかレジンか?
 行列の後がつかえているからこれを考えるのをやめて、次に「付けても大丈夫か?」とは、どういう意味か考える。
「(いくつかの食品を両手に持って行けないだろうが)付けなくても大丈夫か?」ならば分るが、逆だからヘンだな。
 もしかして「(レジ袋1枚は1000円しますが)付けても大丈夫か?」ということだろうか。
「あの、レジ袋付けて大丈夫って、どういう意味ですか」
 面倒くさそうに「レジ袋をお付けします、ということです」
 なんだ、それならわざわざ聞くなよ。
「はい、タダなら付けて下さい」
 また聞かれた「カードは大丈夫ですか」
 えーと、ここは図書館かい??

3月3日【郵便局で】 
郵便局で預金に関する書類を、局員の言うように記入する。
「では住所を書いていただいても、よろしいですか」
「よろしいかよろしくないか、わたしに質問されても、初めてなので、まったく判断できませんが、、」
「あ、書いてください」
 書類のその欄の左に「じゅうしょ」とあるから、ひらがなで書いた。
「あ、漢字でお願いします」
「え、だって「じゅうしょ」ってかいてありますよ」
 用紙を替えて書きなおす。
「ではお名前をお願いします」
 用紙には「なまえ」と書いてあるが、こんどは聞いた。
「ひらがなで書くのですね」
「いえ、漢字でお願いします。用紙は読み方だけです」
 読み方って言っても、どこにも「住所」「名前」と書いてないぞ、あ、これって園児学童向け用紙かな、え??
 次は生年月日だが、チェック欄に明、大、昭、平はあるが西暦がないので、チェック入れずに西暦で書いたら、また、紙を替えて一から書き直し。
 でもなあ、もうすぐ新元号5番目チェック欄を印刷した用紙につくり変えるのかな、もったいないなあ、いっそのこと西暦欄のみにしてほしい。
 で、次は、「ここにハンコを押していただいても、よろしいですか」
 だから、よろしいかよろしくないか、おれに質問しても分らんと、最初に言っただろ。

3月6日【ゴーン保釈】
ニッサン、ミツビシ、ルノーの自動車をご愛用庶民皆々様の浄財をもちまして、10億円もの保釈金を積むことができて、これで自家用拘置所に入ることが来ます、感謝。

3月6日【アメリカ知人の歌】 
大学山岳部で同期生だった山男、アメリカで兎のいる星にロケットを飛ばしていたが、今や大変身してなんとまあ、孫を詠う歌男になったとは、、、
朝日歌壇入選歌
「孫寝かせ妻と静かに交わす酒 息子の時には無かりしゆとり」
   (アメリカ)大竹 博
祝い歌
「雪よ岩よ相い宿りける岳人よ 孫詠む歌人となりにけるかも」
   (ジャパン)まちもり散人
https://datey.blogspot.com/2019/03/1191.html

3月8日【識者の読む本】 
本を減らすために自作本趣味禁止ってのも無粋すぎるし、外から持ちこみ禁止措置として図書館本屋徘徊禁止って決めたなら、出歩く理由が健康のためだけなる。それだけでは出歩く気にならないよなあ。あ、医者通いすればよいのか、なにか病気か怪我かしようかなあ。
 3割識者には3割識者なりの悩みがある。
https://datey.blogspot.com/2019/03/1192.html

3月9日【大通り公園】咲いた、オカメザクラ満開!

3月10日【東京大空襲】 
今日の「3・10」記念日は、74年も経つと忘れられているだろうが、東京で10万人も殺された日である。その年に何度も東京は空襲を受けて、家を焼き払われて十数万人が殺された。
 その日本都市空襲のコンサルタントをしたのが、建築家アントニン・レーモンドであった。日本で建築設計の仕事をした経験を活かした。そして丸焼け東京に戻って戦災復興時の建築設計をしたのであった。マッチポンプか。
https://datey.blogspot.com/2016/02/1171.html
https://datey.blogspot.com/2011/08/475.html
https://datey.blogspot.com/2015/05/1092.html


3月10日【自家製マーマレード】 
遊び友達から自家製夏みかんマーマレレードとその夏みかんとを貰ったので、負けずにマーマーレードを作って視覚と味覚の比較、視覚的にはこちら製が赤い。聞けばあちら製は表皮を薄く削りとったと、なるほど柔らかい口触り


3月14日【ブレグジット騒ぎ】
メイ首相の下で明快離脱かと思ったら、首相の下で走しつづける、でも5月には解決するさ、Theresa Mary May首相だもん

3月22日【インポ建築展再訪】
われながら物好きだが、埼玉県近代美術館「インポッシブル・アーキテクチャ展覧会」をまたも訪ねてゆき、透明アクリル棺桶に飾られたザハ案新国立競技場の死産遺骸を鑑賞してきた。インポッシブル建築がその背中合わせのポシブル建築に、強烈な比評の光を投げかける展覧会。
https://datey.blogspot.com/2019/03/1193.html

3月22日【イチロー引退】
おお、待ってましたあ、エッ?

3月27日【東京駅前広場と行幸道路の再デザイン】
風邪で寝込んでちょっとボケたので、刺激求めて久しぶりに東京都心のシンポに、野次馬見物に出かけたら、真っ黒背広の烏軍団の中に混じる、わが独りカジュアル衣装老人は、不審がられてしっかりとチェックを受け、やっと入れてもらった。
 伊藤滋さんと篠原修さんの話を聞いて、もういいやと外に出て、篠原さん監修でデザインが完成したという、東京駅前広場と駅前道路をみてきた。
 あれまあ、石でカチカチ、軸線ばかり強調、なんだか権威主義に凝り固まって、なんとまあつまらないことよ。イチョウ並木の葉が散り落ちたこの季節は、寒々とした空疎な空間がひろがる。駅前広場もまとまりなくだらりと広がるばかり。東に見える旧江戸城の森の豊かな緑に比べて、このバカバカしいほどの空疎なデザインは、いったいどうしたことか。
 これって、篠原さんが本当にやりたかったデザインだろうか、シンポでの彼の話の端々に、やりたくてもできなかったデザインを多くしゃべっていたから、たぶん、不本意なできなんだろう。
 このことについては、しっかりイチャモンを別に書きたい。

3月28日【新癌号守秘騒ぎ】
政府はどうしてこんなにも新癌号の発表をぎりぎりまで秘密にしたがるのだろうか。わたしは使わないから平気だが、使いたい人はできるだか速く知りたいだろうに。
 なぜ秘密にしたがるのか考えていたら、分かった。
 それは発表の日が重要なキイなのだ。政府としては日本国民の生活に余裕がなくて、笑いがない日々を送っているので、この機に大きな笑いを起そうとしているのである(らしい)。
 そう、次の日の4月2日に、「昨日のあれはエイプリルフールでした」として、本当の新癌号を発表する予定を組んでいるのである(らしい)。

3月28日【大岡花見】
ありゃあ~、去年は満開だったのになあ、、まだ3分咲きかよ~

3月31日【大岡花見】
屋台と人間ばかりが満開で、肝心の花はまだまだだなあ、それにしても、アノ朝も昼も夜も店頭に立ち並ぶ娼婦の街が、よくぞここまで変わったもの、スゴイ、ご関係者のご努力に敬服するばかり



2019/03/21

1393【インポ建築展再訪】ザハ・ハディド案新国立競技場設計図書棺桶と亀甲墓模型の展示を再見してきた

インポ建築展でザハ・ハディド案新国立競技場を見ていて
2013年IOC総会東京オリンピック招致演説を思い出す
インポ建築展】の続き

熊五郎:やあ、ご隠居、風邪の具合はいかかですか。
ご隠居:おお、熊さんかい、ありがとよ、どうやら治ったらしくてね、一昨日は埼玉県立近代美術館に展覧会を見に行ってきたよ。
:そりゃよかった、って、そこ先月に行ったでしょ、まさかボケて忘れててまた行ったとか。
:そう、また行ったんだよ、ボケちゃいなくて、また行きたかったんだよ。
:好きだね、え~っと、建たない建築、そう「インポテンツ建築」の展覧会でショ。
:いや、「インポッシブル・アーキテクチャ」のインポ建築だな。また行ったのは、見たいと言う友人を案内したこともあるけど、もう一度みたい展示物があるからだよ。

:それ、何だかあてましょうか、ザハハディド「新国立競技場案」でしょ。ご隠居のブログにくどくど書いてあったからね。
:そのとおりだよ。インポ建築には違いないけど実現直前で憤死した建築の、あの膨大な量の実施設計図書を眺めたかったんだよ。4000枚以上もある設計図を圧縮コピーして綴じて、A4版40数冊の冊子にしてあるのが、透明アクリル板の箱の中にずらーっと並べてあり、各種の評定書のコピーもある。もう最後の確認申請手続き直前だったというのだよ。
展覧会図録より設計者の言葉の一部
:つまり、建築家のできもしない夢想のインポッシブル建築どころか、実現可能そのものの建築である証拠物件なんですね。じゃあ、インポ建築じゃないのなら、展覧会としては趣旨が違うような。
:いや、そこが面白いところで、インポッシブルとポシブルの境界は実は曖昧なんだね。その曖昧さがポッシブル建築を鋭く批評するってところに、この建築展の狙いがあるらしいのだね。
:ってことは、今年中に完成する“ポシブル”新国立競技場は、この“インポッシブル”新国立競技場から強烈な批評の光を投げかけられるってことですかね、面白いなあ。
:そうだな、今は亡きザハ・ハディドの亡霊がその亡き子の新国立競技場コンペ案を抱いて、隈研吾の新国立競技場に現れて怨みの言葉を吐くんだよ、どんな論争が起きるか楽しみだなあ。
:いや、ザハ・ハディドなんか忘れられて、な~んにも批評なんか起きなくて、日本人たちはオリンピック気分に浮かれるだけですよ。
:う~ん、そうかもしれんなあ、うらめしや~。

:でもねえ、展覧会再訪してまで、そんな設計図書棺桶を眺めてどうするんです、死んだ子の歳を数えるって、ご隠居が設計したわけじゃなし、バカバカしい。
:その通りでね、設計図書を入れてある透明アクリル箱は棺桶そのものだね、そばにある亀の甲の様な模型は墓石に見えてきたもんだよ。沖縄にある亀甲墓だね。
:おお、埼玉に墓参りにいってきたのですかい、なんの縁もないのに。
:そう言っては身もふたもない、でもね、あれって設計料は税金によるものだから、わたしも熊さんもまるきり無関係じゃないよ。
:あ、そうか、あのザハ・ハディド案白紙撤回事件の時に、それまでかかった費用が65億円と報道されましたよ。その後に設計完了して残金を支払ったでしょうから、もっとかかってますよね。
:その頃わたしがブログに書いてるよ、「これまでかけた設計外注費用が65億円、それにコンペでかかった費用、JSCや文科省の人件費・交通費・光熱費など、世界中からコンペに応募した人たちがかけた費用、なんだかんだとざっと80~100億円の無駄かもよ、もったいないよなあ。」ってね。
:ウワッ、100億円かけたものを白紙撤回とて、首相だからできる無駄遣いですかねえ、すごいなあ。
:その後のやり直しコンペで勝った今の工事中の新国立競技場の設計にも、ザハ・ハディド案実施設計での知見が生かされているだろうから、まるきり無駄ではないがね。
:ということは展覧会にある棺桶の中には、少なくとも60億円の価値がある代物ってことで、それだけでも見に行く価値があるってことですかねえ、でもねえ、これじゃあ美術館に展示って意味不明ですねえ。

:わたしが思うのはね、あのザハ・ハディド案の死の主因は、高額工事費と工学的不可能とされているんだがね、どうもそれにくわえてあの異教徒的形態への日本人の忌避感がボディブローのように効いているんだねえ、あるいは国立施設なら日本人が設計するべきだってザハ・ハディドへの違和感もあったような、ね、そこに美術館でこんなふうに「葬送」する意味があるね。
:そうそう、思い出しましたよ、ザハ・ハディド案反対の声を最初に上げたのは、有名建築家の槙文彦さんでしたね。明治神宮外苑にふさわしくないデザインだってね。
:それに弟子の建築家たちやら歴史景観好き市民たちが付和雷同して、聖徳絵画館の歴史的景観を壊すなの声が上がったね。
:それがいつの間にか工事費のカネメの話に落ち込んで無駄遣い反対となり、景観的反対運動がそっちの反対運動に吸収されてしまいましたね。
:わたしはあの騒動の時には、ザハ・ハディド案であの外苑の帝国主義景観を壊してほしいと思っていたもんだよ。ブログにそう書いてるよ。
:今もそう思いますか。
:ところがね、ザハ・ハディド案は実施に進むにつれて変わって行って、亀の甲みたいなった模型が出てきてビックリしたのは、景観的に反対した槙文彦さんの設計した東京都体育館がザハ・ハディド案新国立競技場に並んでいる姿は、もう親子の様に見事に調和したデザインなんだねえ。
:あ、そうですねえ、ザハ・ハディドの高等作戦だったのでしょうかねえ。
:そうなると景観的におかしいと言う論が成り立ちにくくなり、分りやすいカネメ論議になったのかなあ。なんか反対論の次元が低くなった感があったなあ。

:ご隠居のほかにも、そのアクリルの棺桶を眺めている人がいましたか。
:いや、わたしみたいに前にじっと立って眺めている人はいなかったねえ、だって見ても面白くもなんともない厚い本が並んでいるだけだからね。はたから見ると変な人に見えたかもしれないね。
:そう、それを棺桶に見立て、模型を墓石に見立てることができるのはご隠居だけで、他の人には見えない幽霊みたいなもんですね。
:見えないって言えば、展示してある膨大な紙の設計図書類も、いまどきは全部コンピュータデータをプリントアウトしたものだ、だから実は見えないものが本物なんだ。
:あ、そうか、紙にプリントしてわざわざ見えるようにしてあるんだ、じゃあDVD何枚か展示してもいいかというと、、。
:DVDだけだと棺桶じゃなくて、骨壺になるね。DVDも合わせて展示してあると、インポッシブルからインビジブル建築となって、なんだかもっと意味深いような気分になるかな。
:インポシブル建築からポシブル建築へ、そしてインビジブル建築からビジブル建築へですかね。

:それにしても美術館ってところは、もっとなんとか自由にならんものかねえ。
:え、どうしました?
:触らせろとまでは言わないけど、現物を見ながら批評の言葉をしゃべりたいよね。
:あ、声がでかくて、また叱られたな。
:こういうのは静かに見て鑑賞するような美術品じゃなくて、その制作背景やら意味やらについて独自の論を、数人でガヤガヤと振りかざしながら鑑賞すると面白い代物なんだけどねえ。
:インポッシブルの理由を知って見るのと、なにも知らずに見るのとは大違いのはずですね。
:写真だって、設計図書の棺桶を撮りたかったなあ、あんなの著作権に引っかかることなにもないし、税金でつくったものだしなあ。横浜美術館だったら写真撮影OKだよな。
:埼玉の後で新潟、広島、大阪と巡業する様ですから、そちらでは写真撮影とかお喋り老人につき、なにとぞ良き方向にお取り計らいくださいませって、ここで頼んでおきましょう。

参照:
●「五輪騒動

2019/03/07

1392【名著選び】世の識者が選ぶこの30年の30冊の本とわたしの読書歴合致度は3割

 今朝(2019/03/07)の朝日新聞に、「識者120人が選んだ平成の30冊」なるリストが載っている。この30年間の名著であろう。
 ところが、この30冊の中でわたしが読んだのは、たったの9冊である。世の識者なる人々とわたしは3割しか共通しない、つまりわたしは3割識者とわかった。なるほど、そうか、そうか、まあ、どうでもよいが。
 そしてまた、識者が選ぶトップから7番目の本まで、わたしは読んだことがないのである。なるほど、そうか、まあ、どうでもよいが。

 その識者たちをだれである知らないし、平成という区切りになんの意味もないが、この30年間とみれば、それはそれで、地球的には冷戦時代が終ったし、日本的にはバブル経済パンク低成長時代だし、私的にはフリーランスになって以来だし、それなりに意味がある様な気もする。
 でも、それが識者が選ぶ本の傾向に影響し、自分が読んだ本とどう関係しているだろうか、と考えようとしたが、どうもぜんぜん関係ない羅列であるような気がする。

 1位の村上春樹「IQ84」を読んでないどころか、彼の著書を読んだことがない。好き嫌いではなくて、発売されるたびにあまりに評判になるので、そのたびにへそが曲るという単純な理由である。
 2位のカズオ・イシグロについては、ノーベル賞で評判になって、はてなんだか聞いたような名だがウチの本棚にもあったようなと探したら、ペーパバックの「When We Were Orphans」があったので、読みだしたが途中で投げ出したままだ。
 3位の町田康、4位の東浩紀、桐野夏生については、名だけしか知らない。

 4位の宮部みゆきの「火車」を読んではいないが、ほかにはけっこうたくさん読んでいる。エンターテインメント語り手として実にウマイ。
 7位のジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」については、読みたいと思って忘れていた本なので、図書館で借りてこよう。
 8位の小川洋子の「博士の愛した数式」は、小川の本でこれだけを読んだことがある。図書館でなんとなく借りて暇つぶしによんだ。面白い様なつまらないような。
 9位の小熊英二のこの本は力作である。名著と思う。じつは発売と同時に買ったのだが、ボツボツ読み続けていまだに読み終えていない。未読本のなかの横綱格である。

 ベストテンからあとは飛ばしコメント。
 「蒼穹の昴」の浅田次郎は、エンターテインメント語り手として、宮部さえも足元にも及ばない。この清朝、満州ものシリーズの奥深く幅広いことと言ったら、この分野をエンタテイメント小説にするその力量に感服する。
 辻邦生「西行花伝」を買っているのは、趣味の能に関する本だったからだったからか、忘れた。もう一度読んでみよう。
 半藤一利の「昭和史」も「幕末史」も買っている。歴史を語って読ませるのは、さすがに編集者出身だからウマイものだ。このひとの荷風ものも面白い。
 山室信一「キメラ」については、幾冊か買っている満州もの本の一つだが、それらを買ったのは、実父と叔父の戦場について調べた時のことだった。父は満州、日中、太平洋の三つ戦争に出かけて無事に戻って、叔父は太平洋戦争で南の島に果てた。そして「父の十五年戦争」(まちもり叢書第1号)という自著をつくって、親戚に配った。
 渡辺京二「逝きし世の面影」を買ったのはいつだったか、あるときふと気がつくと本棚にこの本が2冊あったから、興味を持ちつつも忙しいのでいつか読むと買っておいたのを忘れて、また買ったのだろうが、じつはそのような本が10冊くらいはあった。

 わたしは30年前にフリーランスになり、個人事務所を東京に持ってスペース的にも金銭的にも本を買う余裕がでたので、嬉しくて勢いがついて買いこんだものだった。
 都市や建築の専門書はもちろんだが、興味ある本は今は読まなくてもいつかは読むのだと買い込んだ。数えたことはないが、自宅とオフィスを合わせると、最大期には5千冊以上はあったようにおもう。オフィス撤収のときにかなり処分した。

 そして今は「終活」とて専門書からはじめて、どんどん若い知人たちに貰っていただいて、数百冊にしてしまった。興味深い未読本を残しており、ヒマにまかせて死ぬまでに読み尽すのだ。
 もちろん、本を買うことを一切やめると自分自身に言い聞かせて、もう5年以上のような気がする。ウチの未読本攻略が先だし、金もないからである。

 ただし減らしすぎると、やがてくる大地震に雪崩落ちてくる本に埋もれて圧死窒息死する本好きに至高の願望が叶わなくなるから、その点に留意している。
 3・11のときは外出していたから当てが外れたが、帰宅するとわたしの部屋だけ被害があり、本棚が倒れて邪魔でドアが開かずに部屋に入れない。わずかな戸の隙間から鋸を入れて本棚を切断した。

 でも、ウチの未読本とネットだけを読む生活ではどうも刺激が薄くて、近くにある市立や県立の中央図書館によく行くようになった。そこで読まなくてもよいような本をついつい借りて来るものだから、自宅の未読本はいっこうに減らない。
 その上、徘徊中についつい書店にも足が向くから、うっかりというか、自分自身に内緒だよと言い聞かせて、新刊本を買うこともあるから、なおいけない。一昨日は松山恵「都市空間の明治維新」(ちくま新書)を買った。

 更にいけないのは、「まちもり叢書」シリーズと題する、卓上自家出版をやっていることである。本を作るのが趣味で、自分で執筆、自分で編集、自分でデザイン、自分で印刷、自分で製本するのである。
 今のところ本シリーズ22巻のほかに、別冊シリーズもあるし、ほかに他人様の執筆と共同著書とか、ときには完全に他人様の著書とかも頼まれたり、こちらから提案してつくることもある。
 ただし、これはオンデマンドでプリント製本するから、全冊が本棚を占領することはないが、それでも10冊くらいはストックができる。

 本を減らすために趣味禁止ってのも無粋すぎるし、外から持ちこみ禁止措置として図書館本屋徘徊禁止って決めたなら、出歩く理由が健康のためだけなる。それだけでは出歩く気にならないよなあ。あ、医者通いすればよいのか、なにか病気か怪我かしようかなあ。
 3割識者には3割識者なりの悩みがある。
 

2019/03/03

1391【カリフォルニア歌人登場】雪よ岩よ相い宿りける岳人よ孫詠む歌人となりにけるかも(まちもり散人詠)

 大学山岳部で同期生だった男が、いつの頃からかU.S.A.に定住して、兎の住む星にロケットを飛ばす仕事をしていたらしいが、いまはカリフォルニアに引退している。
 そして近ごろ、なんとまあ、短歌を詠むようになり、ときどき朝日新聞の歌壇に入選して、元気なことを伝えてくれる。
 この前の入選は去年12月、その前は8月だったから、もう、マグレとは言わない。
 そして今日、その名と歌を発見して嬉しい朝である。

 孫寝かせ妻と静かに交わす酒 息子の時には無かりしゆとり
               (アメリカ)大竹 博

 帰化もして余りに長い異国暮らしで、もう日本語を忘れそうになっていたのを、歌人である夫人の大竹幾久子氏に導かれて、短歌を詠むようになったそうだから、婦詠夫随歌人夫妻であるらしい。
 日夜研鑽に励んで日本語を取り戻すばかりか、古語さえ自在に操る歌詠みになり、朝日歌壇入選の機会も夫人と良い勝負になってきた。
 日本に歌をとばして歌壇に着陸をさせるのは、月ロケットよりも容易か困難か、どうなんだろうか。

 今年2月3日と24日には、幾久子氏が入選している。

 鶏を飼い汁の実畑からとっていた祖母の食事は滋養があった
               (アメリカ)大竹幾久子

 学芸会見に来た親の六人をいずれは看取るかこの孫一人が
               (アメリカ)大竹幾久子

 では、こちらから祝い歌のようなものを贈りましょうかね。

 雪よ岩よ相い宿りける岳人よ 孫詠む歌人となりにけるかも
               (ジャパン)まちもり散人

参照:「伊達の眼鏡」関連記事
https://datey.blogspot.com/2018/12/1175.html
https://datey.blogspot.com/2018/08/1156.html
https://sites.google.com/site/qninkai2018/ohtake2018a
https://datey.blogspot.com/2015/10/1134.html
https://datey.blogspot.com/2012/07/648.html
https://datey.blogspot.com/2013/12/879.html
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2019/03/02

1390【FAKEBAKA2019年2月与太記事まとめ】浜離宮景観破壊シリーズ、道成寺、インポ建築、沖縄県民投票、名誉人間、両虚頭会談

2月3日【カリフォルニア歌人登場】
アメリカの知人が今朝の朝日新聞の歌壇に入選している。半年ぶりである。
鶏を飼い汁の実畑からとっていた祖母の食事は滋養があった
               (アメリカ)大竹幾久子
ありふれた遠い日の思い出を詠んでいるのだが、それを永住したアメリカの地から、遠い日本の歌壇に投稿することで、彼女の人生の永く深い時間と空間を想わせる。
大竹さん(旧友の妹)は夫(大学同期生)と共に日本からアメリカに帰化した。夫も歌を詠み、妻ともども朝日歌壇やNHK歌壇に時に入選している。

2月24日大竹幾久子氏の歌
学芸会見に来た親の六人をいずれは看取るかこの孫一人が


2月5日 【浜離宮庭園景観変貌その1】
熊五郎:ほほう、立派な広い豊かな緑と水の自然環境の向うに、現代モダン超高層建築群が建ち並ぶ都市風景、自然と人工との迫力ある対比、、、。
ご隠居:いやいや違うよ、自然環境なんかじゃないよ、人工の極を尽した伝統的な回遊式日本庭園だよ、そしてもう一方も人工の極を尽くした超高層ビル群だよ、ガチンコ勝負だな。

2月8日【浜離宮庭園景観変貌その2】
熊五郎:そうだ、その汐留開発計画の頃には、ご隠居も都市計画やってたんでしょ、何故もっと総合的に環境にも景観にも配慮した計画しなかったのですか、都市計画家はいったい何をしてたんですか。
ご隠居:おお、痛いところを突いてくるね、そう、わたしは汐留計画にタッチしなかったけど、同じ頃に東京駅周辺の大規模開発計画をやっていたなあ、これも汐留と同じで国鉄民営化による鉄道関連用地利用計画だったね

2月8日【アパート屋大量違反建築事件】 
こんなに長期に亘って、たくさんのレオパレス手抜き違法アパートの建築竣工検査をして、検査済証だしてOKした(たぶん民間の)建築確認検査機関には、なんのお咎めもないのかしら。

2月10日【能・道成寺と組踊・執心鐘入】
二つの道成寺物を並べて観て思ったのは、「執心鐘入」の前半と「道成寺」の後半を合わせた演出の能を誰かやってくれないかなあということである。
 つまり、追いかける女から逃げてくる男を、道成寺の僧が鐘の中に隠してやるのだが、見つけて追いかける女のすきを狙って鐘から更に逃してやり、反対に女を鐘の中に閉じ込めるところまでが前場である。
 そして鐘の中の女を僧が祈り殺して鐘を上げると、鬼女が出てきて丁々発止が後場、こんな筋書はどうですか。
 わたしが考えるくらいなことは、もう、あるかもなあ、。
 いうこときかない惚れた男を追いかけまわす、女ストーカーの実に単純なストーリーだけど、現代風な解釈ではいろいろな演出の「道成寺物」ができるらしい


2月12日【インポ建築展覧会】
埼玉近代美術館で「インポシブルアーキテクチャ」ようするにインポ建築の展覧会を観てて、思った。
 あ、そうだ、インポ建築にされたザハ・ハディドの「新国立競技場案」を、築地市場跡地にそのまま建ててはいかがですか、小池都知事さんよ。
 あれだけ準備万端ととのっている(インポ建築展出展資料)のだから、もうあとは金さえ用意すればそのまま建つようだ。跡地利用をどうしようかとグダグダいうよりも早いですよ。


2月14日【大学の危機】
山岳部同期の白川君のアピール、おお、大学はいま危機なのか、大学とも世間とも縁が切れたわたしは、実情を分らないし、何もできないけど、あの真面目居士の白川君が言うのだから、これは本当に危機なんだろう、せめてアピールに賛同することで応援しよう。

2月8日【浜離宮庭園景観変貌その3)】
江戸大名庭園を通して眺める東京は、21世紀の空を黒々と埋め立て続け、こちらの庭の池さえも黒々と染め、この不気味なほどの景気の良さは、じつは地震と津波が何もかも消し去る前の一瞬の狂気の光芒か、もうすぐおさらばするだろうわたしは、野次馬として興味深く眺めるだけ、、。
さて、どれが現在で、どれが近未来で、どれが過去でしょう?

2月19日【EXIT競争】
ユーラシア大陸の
西ではbrexit対eu
東ではkorexit対japexit
なんかキナ臭い地球だなあ

2月25日【浜離宮庭園の景観変貌(その4)】
庭園からの景観を西側から南へそして東へと見てきて、こんどは北側の景観である。意外にもこちら側は20世紀のまま、もしかしたら江戸時代の景観を保っているのかと思わせるほどに、超高層ビルが見えないのだが、実はこちらには今の問題の築地市場跡地があるからで、さてこの行方によっては、こちらも超高層ビル群で埋め尽くされる景観になるんだろうなあ、どんなプランナーがプラニングやってるんだろうか、浜離宮庭園にも思いを寄せているのだろうか、「戯造景観」で愉しむのだ。

2月26日【沖縄県民投票】
統計の読み方は、同じ投票結果でもこうも違うという実例
産経新聞:「反対」は全有権者の過半数どころか4割にも満たなかった
朝日新聞:「反対」が圧倒的多数を占めて全有権者の4分の1を超えた

2月26日【浜離宮庭園の景観変容】(5)
浜離宮の北隣がいま東京都で話題の「築地市場跡地」、この再開発計画には南隣に浜離宮があることを考えて都市計画立案しているのだろうか。例えば浜離宮と築地市場跡地を一体的総合的に保全と開発を適切に連携する計画とか、その都市プランナーは誰なんだろうか。
「浜離宮庭園景観どれが今どれが過去やら近未来やら」
             2月27日【景観戯造遊び】

久しぶりに思い出して、10年前のユーチューブ掲載を再掲
さてどちらが本物の撮影か??

2月28日 【コンビニ営業時間騒動】
「7-11」って混品荷店は、
店名から7時~11時営業と思ってたら、
実は24時間営業かあ、
店名詐称だぞ、「7-7」に変えろよ

2月28日【上皇の英語翻訳の日本語再翻訳は名誉天皇】
天皇をやめたら
the Enperor Emeritusだって、
わたしがボケたら
Human Emeritusって呼んで


2月28日【厚労省統計不正事件】
監査委員会で調査の結果、統計不正って誰も隠蔽の意図が無かったと報告、わたしもそれが正しいと思う、だって、統計担当者たち誰もが、それを隠すべき不正かどうかさえ判断できない、バカばかりだったと、判明したのだから。

2月28日【ベトナムハノイ両虚頭会談】
ノーベル平和賞に推薦しましたよ
イグノーベル賞に推薦しましたよ

2019/02/26

1389【浜離宮庭園の景観変容】(その5)築地市場跡地は同じ東京都管理の浜離宮庭園に隣接するから総合的に都市計画を立案しているのだろうなあ

【浜離宮庭園の景観変容】(その4)から続く
景観戯造「浜離宮庭園景観どれが今どれが過去やら近未来やら」まちもり散人詠

:浜離宮庭園の西側の汐留開発は国鉄用地だったから、国政府が風景破壊したようなもの、こんどの築地市場跡地は東京都都有地、つまり自分が管理するこちらの都営の公園の景観を壊すのじゃないでしょうねえ。
:いま、都議会では築地市場跡地利用の方向を巡って都知事とあれこれやっているようだから、東京都の担当当局は専門家を使ってあれこれ計画してるんだろうね。そこには当然のことに都市計画の専門家もいて景観に関する検討もしているはずだよね。
:たとえば市場跡地に髙いビルを建てないとか、なにか考えているのでしょうかね。
:ちょっとネットで調べてごらんよ。
:はいはい、ありましたよ、浜離宮庭園の周りの街には、都市計画的規制というか、景観的な規制がありますね。周りに建てるには届け出が必要らしいですよ、それにビルの高さ20m以上については看板禁止らしいですね。



:あれ、シオサイトのビルの上の方にでっかく「コンラッド」とか「日通」とか書いてあったけどなあ。景観コントロールで庭園景観が美しく保たれてはいないよね。それどころかか、空を埋め立てるばかりか、庭園の池の中にりこんでいて、大いに景観阻害してるよね。
:で、届け出るとどうなるのですかね。
:ああ、そうか、これまで見てきた西、南、東の景観の現状からすると、それが届け出て審査の結果だろうから、だから北側にも同じように超高層ビルが並ぶんだろうね。
:あのねご隠居、そのうちに技術革新で、髙くても目に見えなくて、池の水面にもぜんぜん映らないなんて、完全透明超高層ビルが建ちますから、待っててくださいよ、ハハ。
:ワハハ、ステルスビルってかい、ふん、何をバカなことを言っとるか。
:どうやったら日本庭園と調和する高層ビル群の景観デザインができるんですかね。行政も都市計画家も建築家も考えているのでしょうかねえ。東京都が雇っている専門家には、この景観のことを分っている専門家もがいるのでしょうかね。
:いや、いないような気がするねえ、いつものことながら都市計画でそこまでちゃんと考えないから、ヘンな建築が建ってきて目に見えてから市民が文句を言うんだな。
:都市計画の段階でのチェックを誰もしないで、建築になって初めて文句つけるが、その時はもう遅いってのが、日本の景観の運命なんですね、築地もそうなるんでしょうかね。ほかの公園ではどうなんですか。
:このような公園は東京にはいっぱいあるね。ずっとまえに東京や横浜の有名な主な庭園をまわってみて、こんな景観戯造の遊びをやったよ。
さてどちらが現実の風景でしょうか:東京・清澄庭園

さてどちらが現実の風景でしょうか:東京・小石川後楽園

さてどちらが現実の風景でしょうか:東京・小石川後楽園

さてどちらが現実の風景でしょうか:横浜・三渓園

:外国じゃあどうなんでしょうね。
:さあ、よくしらないけど、ニューヨークのセントラルパークに昔に行ったことあるけど、あそこは公園の周りが高層ビル群だった記憶がある。
:じゃあ、ちょいと行って写真撮って来ましょう、いやなに、グーグルアースですよ。
:そうか、便利になったもんだよなあ、どれどれ。
:あっちは浜離宮と比べて、あまりに広すぎて比較にならないけど、こんな写真でどうですか、まとめてGIFアニメにしましたよ。
ニューヨークのセントラルパークの景観 google earth

:う~む、セントラルパークは、日本式庭園の様に植栽や水がチマチマと縮景するのじゃなくて、広くおおらかな造り造園だから、ビル群との景観的な対応も無理がないような気がするね。
:そうですねえ、こっちはチマチマと手仕事の和菓子、あっちは大雑把に飾るクリスマスケーキみたいなもんですかね。

:あそうだ、庭園でも公園でもないけどセントラルパークなみの広い緑地が東京にもあるな。昔の江戸城、今の皇居だよ。ここは昔から覗き込みをタブーとされるお方が住んでるから、厳しい高さ規制が昔から行われているね。これは日本でも例外的事例だね。
:あ、そうですね、外から覗きこまないよう、中から外のビルが見えないようにって、なんだかんだって騒がれた歴史がありますね。いまも江戸城として将軍が住んでいたら、そうしたでしょうから、その点では歴史を継承していますね。

築地跡地計画では跡地の中だけじゃなくて、隣接してしかも同じ地主の持つこちらの庭園も合わせて総合的な計画を立てるべきだね。特に景観としては、18世紀から20世紀の重層する歴史的景観に、21世紀の景観を重ねてさらに美しい歴史的景観を創り出してほしいもんだね。
:そうそう、日本庭園にいきなりビルを建てるみたいに木に竹を継いだ景観を生みだすのじゃなくて なにかいい方法はないんですかい。そうだ、瓦屋根付き超高層ってのはどうです、外装に木を気を使うとか、いっそのこと木造超高層ビルとかね。ちょっとやって見ましょうか。ほれ、ね、日本調でショ。
:ウワッ、ワハハ、そうか、浜離宮庭園はもともとは江戸城の出城だったんだからねえ、そうか、江戸キャッスルランドにするか~。
:ベタだねえ、ホントは皇居の中に江戸城天守を復元するってのが普通でしょうが、そこにはアンタッチャブルのタブーの空気がみなぎってるから、いっそのことこっちに建てようってのは、ちょっと面白いでショ。名古屋城に負けずに木造がいいでしょ。
:木さえ使えば良い建築なんて、デザインできない奴が言うことだよ、新国立競技場みたいにね、でもそういうのがホントにできちゃったりするから、コワイよな~。
:じゃあもうひとつ、こんなのはどうです?
築地市場再開発には新国立競技場ザハ案(安倍首相がボツにした)を実現?

:な、なんだい、でも何だか見たことあるような、、。
:へへへ、さっきご隠居が言ったから思いついたんですよ、例のザハ・ハディドの新国立競技場コンペ一等当選案ですよ。
:ワハハ、ザハハ、一等なのにあっちに建ててもらえなかったから、築地の隅田川の水べりに幽霊になって「うらめしやー」ってのかい、こりゃいいや、面白い、。
:ばかな戯造景観やって面白いけど、新たな時代の歴史的景観ってどんなものなんでしょうね。そうだ、この浜離宮庭園はどんな歴史があるんですか?
つづく


参照:【浜離宮庭園の景観変容】
その1)(その2)(その3)(その4)(その5
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伊達美徳=まちもり散人
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2019/02/25

1388【浜離宮庭園の景観変貌】(その4)浜離宮庭園の北側はまだ超高層の見えない20世紀の景観を保っているようだが、

浜離宮庭園の景観変貌(3)の続き

:では、こんどは北側だよ、どうだい、20世紀の風景か、いやもしかして江戸時代の風景かもね。
横堀に架かる海手お伝い橋から北を見る

潮入りの池(大泉水)のお伝い橋から北を見る

上のふたつの写真撮影の場所(赤矢印)パンフの案内図を北を上にした

:あれれれ、北側だけはこうなんですかあ、ほんとですかあ、あ、左にちょっとだけビルが見える。でも、これまで西や南や東とはとずいぶん違いますね。
:それじゃあ、どっちの写真も左の西と右の東の一部を入れて、パノラマにしてみようかね。
潮入りの池お伝い橋から北を見るパノラマ
左に西のシオサイト超高層群、右に隅田川を隔てて勝どき超高層群

横堀の海手お伝い橋の上から北を見るパノラマ 
左に西のシオサイト超高層群、右に隅田川を隔てて勝どき超高層群

:おう、おう、左右に超高層ビル群が控えていますねえ、
:参考までに海手伝い橋から左の方に頭を回して、西のシオサイトを見るとこうだよ。
海手お伝い橋から東のシオサイトを見る

:おお、こんな風に見えるんですねえ、北にも建つとこんなになるのかあ、ということは、この浜離宮の西でも南でも東でも東京で大流行の超高層ビル開発が、北側のあたりには及んでいないってことですね。こっちの北の外側の街には、超高層ビルを邪魔しているなにかがあるってことでしょうかね。
:おお、そうらしいねえ、ちょっと空中から北を覗いてみようか。
下中央に浜離宮、左の西にはシオサイト、
右の西には隅田川を隔てて豊海、勝どき、上の北には築地川を隔てて築地市場跡地

:おお、ご隠居、この浜離宮のすぐ北にある奇妙な曲った建物みたいなのは、なんですかね、これですよ邪魔しているのは。
:そうそう、浜離宮の北側には築地川があり、その川向うは築地市場だね、いや、もう閉鎖したから市場跡地だな。
:そうだ、あの移転するしないって長いこと揉めていた築地市場ですよ、やっと豊洲に移転したんで、この広大な跡地をどうしようかって計画があるけど、都知事が替ってからもあれこれと揉めていて、決まらないらしいですね。
:そう、市場の建物は広いけど高くないから、浜離宮庭園の北側は建物が見えないんだね。
浜離宮庭園の北東角あたりから北を見る
正面が築地市場跡地、右は隅田川、橋から右が勝どき地区

:ふん、でも、どうせここも西側の汐留操車場跡のシオサイトみたいに、またまた超高層ビル群を林立させるんでしょうね、たぶん、ご隠居あっしにちょっとやらせて下さいよ、こんどは有る建物を消すのじゃなくて、これからできるまだ無いものを描きこむんですよ。
:ああ、そうだね、さてどうなるか、。
:ほれほれ、できましたよ、これでいかが?、何だか見たようなビルが建ってるけど、まあ、どうせ想像だからどうでもいいでしょ。
潮入りの池を隔てて西と北のパノラマ 左半分はシオサイト現況、右半分は戯造ビル群

横堀の海手お伝い橋から北にパノラマ 正面のビル群は戯造

:おお、こっちもこうかい、ひどいなあ。ほんとにこうなるのかなあ、まさかなあ、いやあるかもなあ。う~む、うまいもんだね、いや、感心しちゃいけない。
:じゃあ、この下のGIF画像で、どれが現実で、どれが未来で、どれが過去でしょうって、クイズですよ。
このうちのどれが現実で、どれがわたしが作った戯画か?

つづく

参照:【浜離宮庭園の景観変容】
その1)(その2)(その3)(その4)(その5
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伊達美徳=まちもり散人
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