近ごろちょくちょく新聞沙汰になる学校教員の猥褻事件がある。教師も人間だからエロ人間もいるだろうが、教え子を侵すような犯罪は困る。
横浜市教育委員会が市の猥褻教員の裁判公判に、市教委の職員たちを組織として公判の場に傍聴のために出張命令を出しいるそうだ。しかも他の傍聴者を入れないように、その公判の一般傍聴席全部を占拠していたそうだ。もう何回も何年もそうやってきたとのこと。
これを最初に見出しで見た時に、市教委は公判を教材にして市の教師に性教育しているのだろうと思った。
東京新聞の記者がその公判の一つを傍聴に行ったら、とくに有名事件でもないのに、黒背広の傍聴者が行列している風景に出くわした。これはクサいと傍聴者の後をつけて行ったら、なんと市教委の入るビルに入った。そこで取材して組織的動員がわかったという。
市教委からの説明では、猥褻事件の被害者の側から要望があったからだそうだ。公判で被害者が世間一般に知られるのは、被害者には耐えがたいことだろう。だから教員の側でその情報を独占秘匿して、被害者を守ろうとの作戦だろう。わかるわかる、気の毒だよなあ。まさかと思うが、猥褻教員を守るつもりではなかっただろうな。
だが一方では、これで市教委職員側には広く情報が共有されることになるが、それはどうなのだろうか。たぶん、市教委はそれも狙ったであろう。つまり、市教委職員の性教育の場に公判を活用したのだろうと思う。猥褻やるとこんな恥さらしになるんだぞと、昏々と職員に教え込み、市の学校の性教育に生かすのに格好の場である。これで猥褻教員の発生を抑えることができるか。
それほどにも今の教育現場は、猥褻教員の出現の多いことに悩んでいるのだろうと、おもわせるのだがどうだろうか。それにしても今の教委は、生徒の性教育で左右両派からあれこれ言われて大変だが、猥褻対策の教員の性教育も指導しなければならないから大変だ。裁判がその絶好の教材であるのはよくわかる。
わたしの長い人生経験で、学校教育の場で猥褻教員に出会った記憶はない。わずかにあるのは、中学校の時の音楽科の男性教員が、「あの先生はいやらしい」と言う噂の対象だったことだ。それが何のことかわからなかったが、後にその教員がそれゆえに免職になったと聞いた。近ごろは男の生徒も被害者になるケースもあるらしい。男女平等が行きわたったのではなくて、男女という性別が怪しくなったというべきか。
東京新聞は、他の一般傍聴の機会を、市教委という公的機関が組織的に妨害したことを非難している。教委もそこまで考えが及ばなかったことに気が付いて、謝罪している。でもじつは当然に知ってはいただろうが、それでも生徒を守ることが先だって必要だったろう。だから動員されたと分からぬように、互いに見知らぬ間柄として行動することが求められていたが、へたくそだったので新聞屋に嗅ぎつけられてしまった。
性犯罪に関する報道は一筋縄ではいかない。新聞屋は市教委を非難しているが、それだけでは性犯罪の報道はすまないはずだ。もっと何かがあるような気がする。
教委が配慮したという被害者の立場については、公判という場が2重被害をもたらす場になっているのが真実ならば、それへの対応を裁判所側がおこなうべきだろうが、そちらの情報はない。何か配慮があるはずだと思うが、裁判には縁遠いので推測もできない。
(20240523記)
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伊達美徳=まちもり散人
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